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彼の地へ
保守の兵たちは壊滅して……」
「シャルール様に報告は?」
「それが、宮殿内に入れず……」
ヴァレンは、「兵はこのまま待機。俺が行ってくる」と部屋を出て行こうとして、「ディディエは杜人達と一緒に出立の準備をしていろ」と言って飛び込んで来た兵士と一緒に出て行った。
「湖が占拠されたら……」
「水を止められたら、水の少ないこの国は枯れてしまう」
「兵士や国民の生活が……」
口々に不安を言葉にしながら、「急ぎ出立してスオーロを落とさねば」と頷き合った。
「ディディエ。このマントを身に付けて」
シャージュは肩から身体を覆うように濃紺のマントを僕に着せてくれた。
「これから夜になれば、闇に紛れる」
3人とも同じ色のマントを身につけて、「馬の用意をしてシャルール様を待とう」と部屋を出た。
「ガジュー。無事だったんだね」
馬場に行くと水の宮殿から別れて行動していたガジューが出迎えてくれた。
「さっきここに付いたばかりだ」
「そうなんだ。よかった」
道中に襲われることは無く、一緒にここに向かっていた兵達も無事だったらしいが、他の兵達はまだ着いていなかった。
「湖が占拠されたって……宮殿の人たちは無事だろうか?」
ガジューに聞くと、「どうだろう。俺たちとすれ違いで護衛に行った兵達は壊滅だと聞いたけど……」と表情を曇らせた。
「ガジューはここに残るの?」
「ああ。俺はここに残る。ディディエはシャルール様とエクスプリジオンに行くんだろう?」
「うん。シャルール様が来たらすぐに出るって……ここにはイグニスさんとヴァレンさんが残るって」
ガジューは、「気をつけて」と頷いた。
「スオーロの兵は大分動いているみたいだから、囚われたディディエの仲間も心配だな」
エクスプリジオンの兵と一緒に囚われてしまった仲間達。スオーロに身の安全を確保するための文書を持った兵士が向かったはずだ。明日までに新国王が即位して改めて国王兵団長に任命されなければ無効になるとシャルールは言っていた。
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