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彼の地へ

「お前がやりたいなら好きにすればいいが、イグニスが許さないと思うぞ」 「イグニスさんが?」  仕事をするのにイグニスの許しが必要なのか。 「ああ。そんなことさせられないと、小言を言われるぞ」 「…………」  シャルールに握られた手をじっと見つめて、赤い髪とそのマントを改めて見直した。  絢爛豪華なその衣装は国王兵団の団長の衣装にしては派手すぎる。ブルーメンブラッドの正装もスオーロの正装も見たことは無いし、王を見たことも無い。だけど、シャルールが今着ているものはそれに匹敵するものだろうと……理解できた。 「シャルール様は…………誰?」 「は?」  今度はシャルールがおかしな声を上げて、眉間に皺を寄せた。 「国王兵団の団長で、国を守る火の杜人で……」  武芸に長けて、部下思いで、国民を思い、優しくて……。 「エクスプリジオンの次期王位継承者だ」  膝をついたまま見上げてシャルールは言った。 「王位継承者?」  それって、シャルールはこれから国王になるってことだろうか。  アウルムからここに急いで来たのは、亡くなった国王の後を継いで、国を治め、スオーロに送った手紙の署名を有効にするためで、国王兵団をまとめて、スオーロを叩き4国をまとめるため。 「そうだ」

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