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王の帰還
僕が龍神の杜人であることは明白だけど、「僕は、龍神の杜人……みたいです」と小声でようやく伝えた。
ハルは、「エクスプリジオンの強運の前に我々は敗戦を記すしか術はなかったのであろう」と言って、苦笑いをしてみせた。
「ハル皇太子。シャルール様がお会いになるそうです」
イグニスが駆け戻ってきて伝えると、「分かった」と言ってイグニスと共にシャルールが横たわっていたテントへと向かって行った。
イチは泣き続けていて、侍女たちが必死に宥めている。
「ディディエ。同席しろ」
シャージュが呼びに来て、「僕はいいです」と断ったが、「シャルール様が呼んでいる」と言われて仕方なく出て来たばかりのシャルールの元に向かった。
シャルールは負傷した身体を起こして座ってはいるものの顔色も悪く、左肩を抑えている。
ハルはその前に立ったままだ。
「おいっ」
「うわぁ」
シャルールの横にいた兵が慌てて声を上げた。
ハルが腰に差していた剣を抜いたからだ。
ハルはその剣を横に倒すと地面に置き、「スオーロより国王イクシ・サカキよりの意思を伝えに来た」と言った。
「このような体で申し訳ないが、ここは戦地。幾分もの差支えも目をつぶって頂こう」
シャルールはそう言って、「聞こう。言ってみろ」と言った。
「我がスオーロは何物にも犯されない。強い意志と権力、強さを持ち合わせている。故に鎖国とする」
「さ、鎖国?!」
驚きに声を上げたのはシャージュだ。
「それはどういうことだ? そんな子どものわがままなようなことが通じると思っているのか?」
「国王は、『戦う意思はない』と。戦うものあらば、国より追放する。とのことです」
シャルールは怪訝な顔をする。
「エクスプリジオン、アウルム、共に提携を結び、今やエクスプリジオンが統治している。ブルーメンブラッドの休戦地帯、およびスオーロ周囲はすでに制圧。スオーロはすでに逃げ場はありません」
イグニスが説明すると、「分かっておる。しかし、スオーロはエクスプリジオンの支配下に下る意思はない」と強く言い返した。
「それではここで命を奪われても致し方無いことだと受け入れるか?」
シャージュは腰にしている剣に手をかけた。
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