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第15話 断じてデートではない

 手を引く俺の後を、とぼとぼとついてきた誓将先輩を家に上げた。  2DKのマンションで、玄関の右手に2畳ほどの対面キッチンがあり、左手は洗面所へと繋がる扉で、先にはバスルームとトイレ。  そのまま、まっすぐ進んだ先が10畳のリビングで、2人掛けのソファーとテレビに小さなハンガーラック。  リビングを突っ切った奥の8畳の寝室には、備え付けのクローゼットがあり、ダブルベッドを置いている。  居間のソファーに誓将先輩を座らせ、俺は、寝室のクローゼットにしまい込んでいた紙袋を手に戻る。 「これ……」  持って戻った梅桃デパートの紙袋を誓将先輩へと差し出した。  怪訝そうな誓将先輩の瞳が、俺を見上げる。 「誓将先輩、もうすぐ誕生日でしょ? 可愛い服、好きって言ってたから……」  受け取ってもらえない紙袋を抱え、誓将先輩の隣に腰を下ろした。 「でも、可愛い服が売ってる所なんて1人で入れないし、どんなのが“可愛い”のかわかんないし、サイズもわかんなくて……で、あの、誓将先輩と同じくらいのサイズの彼女に買い物付き合ってもらったんすよ」  紙袋から取り出したラッピングボックスを差し出した。 「少し早いですけど、お誕生日、おめでとうございます」 「……ありがと」  ぼそりとお礼を放った誓将先輩は、受け取ったボックスを暫し眺める。 「なので、あれは、断じてデートではないですっ」  鼻息荒く否定する俺。  誓将先輩への誕生日プレゼントを買った後、デパートの地下へと連れられた俺は、誕生日プレゼントを選んでもらった報酬として、バカ高いワインとローストビーフを買わされた。  危なく、誓将先輩への誕生日プレゼントより値が張るところだった。 「これ、高かったんじゃねぇの?」  箱のブランド名に目を留めた誓将先輩は、申し訳なさげに俺を見詰める。  プレゼントは、彼女曰く、流行りのブランドのカシュクールのフレアワンピース。  深いグリーンの下地に淡いグリーンの花柄シースルーが重ねられた、柔らかな印象を与えるもの。 「値段なんて、どうでもいいんで。誓将先輩に気に入ってもらえるかの方が重要なんすけど……?」  箱を空けもせず、恐縮しきりな誓将先輩に催促する。  首を傾げる俺に、誓将先輩がおずおずと箱の蓋に手を掛けた。

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