21 / 24

第21話 たかが1枚、されど1枚 <Side 誓将

 失神するほど、抱き潰された。  お漏らしはさせられるし、潮は吹かされるし、ありえないところまで犯された……。  どうせ阿久津は、セフレを切るコトなど出来ないだろうから目を瞑ろうと思った。  でも、オレの胸の底には、どろどろとした醜い感情がヘドロのように蓄積され、阿久津に触れた瞬間に、どろりと溢れてしまった。  せめて隠してくれと願うオレに、“なんで信じてくれないんだ”と阿久津は拗ねる。  あの距離感に。あの触れ合いに。  オレと阿久津の間にある空間よりも、酷く近い彼らとの距離。  ……嫉妬だ。ヤキモチ以外の何物でない。  阿久津に抱き締めてもらえたり、頭を撫でてもらえたりする彼らが、…羨ましかった。  どうにも出来ないと投げ遣りになるオレに、阿久津は“自分が悪いのだ”と謝ってきた。  きちんと言い訳をさせてくれ、と。  オレの誕生日プレゼントを買うために、彼女と出掛けていたらしかった。  断じてデートではないと、きっぱりと否定される。  オレの下着姿に盛る阿久津を煽り、手を出させる。  公園で抜いてやり、2回目だったというのに阿久津は、挿入()れた瞬間に射精した……。  あまりの早漏っぷりに、笑いが堪えられなかった。  でも。  可愛すぎるその姿に、阿久津の“我慢していた”という言葉を、信じてやるコトにした。  信じてやろうと思った瞬間、肩に噛みつかれ、生で挿入れられる。  たかがゴム1枚…、されどゴム1枚だ。  阿久津のペニスの熱さが、ダイレクトに粘膜を焼いた。  遠慮のない突き上げと、切なく見詰めてくる熱い視線に、身体も心も炙られた。  意識が浮上し、自分が横たわっている場所がどこなのかを探る。  たぶん、リビングにあったソファーの上だ。  身体も綺麗に拭かれ、気持ち悪さはない。  ふんわりとかけられているのは、肌触りのいいタオルケットだ。  ゆるっと持ち上げた目蓋に視界は開けてきたが、阿久津の姿が映らない。  がさごそと衣擦れのような音が、寝室側から聞こえてくる。  ギシギシと軋む身体をなんとか引き起こし、寝室方向へと視線を投げた。

ともだちにシェアしよう!