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連続児童暴行事件

 舘脇はこのところテレビで流れているニュースを思い出していた。  『連続児童暴行事件』  その連続事件は、特に捻りもなくそのままの自称で呼ばれていた。小学生くらいの男女、性別関係なく可愛い子を狙っている犯人のようで、その世代の子供をもつ親は子供達に十分気を付けるように、外で1人では遊ばないように、何度も注意しただろうと思うほど犯人は捕まらなかった。  手口としては、この場所に行きたいが迷ってしまった、分かるようなら近くまで案内してもらえないか?と声をかけ、親切な子供を近くの公衆トイレに連れ込む、という手口が多いようだった。  最も、嫌な目にあってハッキリと親に言える子供ばかりではないだろうし、聞いたところで近所など世間の目を気にして警察に訴えない親もいるかもしれないので、把握数よりも事件数は多いだろうと予想されていた。汚された可哀想な子供。世間はそんな目で見るだろう。   こんなに連日ニュースで話題になってるような事件なのに、この子達は知らなかったんだろうか。知らなかったから友人を1人で行かせてしまったんだろうか。足を止めずにずっと考えていた。うちに訪ねてきたこの少年は同じ年頃の子より大人びている気がした。育ちが良い丁寧な口調の割には何人か着古したような服を着ているのが気になった。もしかすると、近くの愛育園の子かもしれない。その考えが、ふと脳内を過った。しかし、児童養護施設だろうとテレビくらいあるだろうという認識だった。  そういえば…と思い立ち振り返って少年の名前を訊く。もしも公園のトイレでは見つからずに手分けして探す羽目になったなら、手分けしてる相手の名前を知らないのは不便だと思ったからだ。 「柴田直樹です」 公園が近づいてきてお互いに小走りになりながら少年は答えた。願わくばトイレで見つからずに、近くで無傷で元気に見つかるというのが理想だ。子供が遊んでいて帰りが遅くなっただけ、そんな結果で終わると良い。  この子が言った経過に間違いがなく、暴行犯の仕業だとしたらあおいくんとやらは今頃恐らく…。  こんな時は良くない結果を想像しがちだ。    そして舘脇は自分の良くない想像通りになってしまったのを呪いたかった。見ず知らずの子供とはいえ、一時真剣に心配して探した子だ。ましてや舘脇は教育の現場の経営者でもあったのだ。  公園につき、即刻トイレに向かい個室に向かって声をかけた。 「あおいくん、いるかな?」 声をかけた後、自分のような面識のない者には返事しずらいかもしれないと少し後悔していたら一緒に来ていた直樹が声を出した。 「あおちゃん!直樹だよ!いるの!?」    すぐに個室の1室から音がした。  

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