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ぼくの天使
ぼくがすんでるところはあいいくえん。子どもばかりの世界。いじわるなえんちょーは大人。大人はこわい。
だいすきなのはえほん。えほんにはキレイな天使がでてくる。かみさまからのつかいの天使。見た目もふわふわキレイな金色のかみのけで、にこにこ笑ってる笑顔もかわいい。今ははんにんまえ?だから天界じゃなくて人間界でおべんきょう中なんだって。
天使は泣き虫なんだ。花が枯れたからかわいそうって泣いて、子どもがケガをしたら痛くてかわいそって泣く。
天界にかえれない天使もかわいそうなのに、天使は自分のことでは泣かないんだ。他の人のことで泣く。
ぼくはこの泣き虫な天使のおはなしがだいすきで、なんかいもなんかいも読んでるうちにきがついた。
天使はやさしいんだ。
ぼくもこんなやさしくなりたい。だいすきな天使みたいに。
またあいいくえんに子どもがふえた。子どもはたまにふえる。どうやってふえるんだろう。こんどはどんな子だろう。なかよくなれるかな。その子はえんの入り口にすわってずっと外を見てるってきいたから見にいった。
そしたらいたんだ。ぼくの天使が。
金色のふわふわのかみのけのうしろすがた。前にまわっておかおを見たら、泣いてはいなかったけど、いつ泣きだしてもおかしくない顔をしていた。泣き虫天使だ!泣くのがまんしてるんだ!
ぼくは天使といっしょにいることにした。天使がここで座って外を見るならとなりにいてあげる。ひとりぼっちはさびしいよ。天使のとなりにぼくがいるからね。
泣き虫天使、君も天界にかえれないの?はやくはなしたかったけど、天使はまっすぐ外の世界を見ていたから、天使がきがすむまでいっしょに外を見てようって思った。
ぼくの天使。えほんから出てきてくれたんだね。ぼくまいにちよんでたもんね。会いにきてくれたのに、なんでそんなにかなしいかおをしているの?
いじわるえんちょーにきくのはイヤだったけど、天使のことがしりたくてききにいった。天使のおなまえはあおいくん。ぼくだけのよびかたでよびたい。ぼくはなおきだよ。
ずっとずっとえほんで君を見ていたなおき。もうぼくたちは友だちのはずなんだよ。
そうだ、あおちゃんてよぼう。
あおちゃんとぼくはどんどんなかよくなった。あおちゃんが天使っていうのはぼくだけのヒミツ。なおきくんとあおちゃんは仲良しだね。ほかの子がぼくのマネしてあおちゃんて呼ぶのがすごくすごくイヤだった。
小学生高学年になる頃には、あおちゃんは天使じゃなくて同じ人間てわかってたけど、あおちゃんの一番側にいたいのは変わらなかった。
あおちゃんの笑顔は絵本の天使とおんなじ笑顔。変わらない。
周りの人間を明るくするような笑顔。
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