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05. 寝るの大好き猫ちゃん♡
白く優しい月の光に照らされた蒼い山脈と湖に挟まれた荒野のど真ん中に俺はぽつんと立っていた。
どこだなんだよ、ここはっ!!
確か俺は、兄のキス攻撃を受けてキャパシティオーバーになり、意識がブラックアウトしたんだよな、それで目覚めたら荒野のど真ん中にいる……
なんか本読んで赤ん坊になったときと同じくらいカオスだわ
考えていても埒があかないのでとりあえず歩く
テクテク、テクテク。
うん、何も変わり映えしないわ、本当どこですか、ここ?
「世界の……果て……だにゃ……スー」
へえ-、そうか果てねえ……ってちょっと待て
「誰だ!?」
「うる……さい……にゃ」
上か!?上の方から声がする!!
ガバッと見上げると真上に不自然なピンク色の雲が浮かんでいた。
雲はふわりふわりと降下してきた。
ゴクリと唾を飲み込み、雲をよくみてみると上に三毛猫が丸まって寝ていた。
猫?こいつが声の主なのか?
「そう……にゃ……朕は……とーちゃん……なのにゃ」
とーちゃん?てか、この猫さっきから寝言で返事してるよな、ある意味すごいとは思うが……
起・き・な・さ・い♡
話は人の目をみてするもんじゃあ!!
「やだ」
即答かよ、このやろう!!
『話すの疲れたから、念話でぱぱーっと伝えるにゃ』
いや、あんたまだ少ししか話してませんけど
『細かい男はもてにゃいにゃ。
よいか、一度しか言わにゃいからよくきくにゃ
朕は創世神にゃ。本当の名前は長ったらしいから、汝はとーちゃんと呼べにゃ。
以前、朕の兄上たち、おっちゃんズがこの世界を侵略しようとしてにゃ、一度大きにゃ戦を仕掛けてきてにゃ、そのときは蒼虎のあーちゃん、白竜のえっちゃん、金鹿のでぃーちゃん、緋鷲のひーちゃんの活躍でことにゃきをえ、おっちゃんズの片方を始末できたのにゃ。
ところがしょうもこりなく今回、残った方のおっちゃん2がまた大きな戦を仕掛けようとしているのにゃ。あーちゃんたちは先の戦でほとんど力を使い果たしているし、朕は寝るのに忙しくて万事休すなのにゃ』
うん、とーちゃん、寝てないで起きて戦おうよ
『やだ』
またしても即答かよ、このやろう!!
『朕は永遠に居心地よくお昼寝するためにこの世界を造ったのにゃ。起きるにゃんてまっぴらごめんにゃ』
なんてしょうもない理由!!
というか創世神って猫なんですね!!
『これは燃費がよいからこの姿ににゃってるだけにゃ。後、この口調は生まれつきにゃ』
それで、何のために俺を世界の果てに呼んだんですか?
……もしかしてあんた、俺をこの世界に転生させたあのクソ本と何か関係あるの?
『汝をこの世界に転生させたのはかっちゃんにゃ。本については……再び手にすることににゃるだろうにゃ、今は制約でそれだけしかいえにゃいが。呼んだのは頼みが汝にあるからにゃ』
俺はこのとき、すごーく嫌な予感を覚えた。
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