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急接近。
「おい、お前ん家どこだ?」
「す、すみません葛城さん色々と……」
「あー。わかったわかった。何も言うな。ほら、さっさとタクシーに乗れ!」
阿川は隣で謝るとタクシーに乗り込んで運転手に行き先を告げた。俺も一緒に乗り込むと奴の家に一晩泊まる事を決めた。そして、車は目的地まで走り出した。
夜の都会に映しだされた繁華街の景色を車内で黙って見ながら不意にアイツの方に目を向けた。阿川は車内でウトウトしながら、俺の肩にいつの間にか寄りかかってきた。
「……ばか、お前近いんだよ。」
「すみません。貴方に迷惑をかけました……」
「当たり前だこの酔っぱらいが…――!」
「で、でも……」
「ん? なんだ?」
「貴方と帰って、帰り道に一緒にご飯を食べて、楽しかったなぁ。何だか今でも夢みたいです……。だってこんな事、前には想像しなかったから…――」
「ッ…!?」
何気ないその言葉に一瞬、胸がドキッとした。コイツは俺の前で酔い潰れていても、相変わらずノロケだけは上手かった。
何で俺がこんな奴の酔っぱらいの言葉なんかに一々ドキッとしなければならないんだ全く……! クソ、阿川の奴…――!
隣で俺の肩に凭れたまま、目を瞑って眠った様子だった。俺の気持ちとは裏腹にアイツはどこか、安心していた寝顔を浮かべていた。静かな車内でアイツの寝息が近くで聞こえる度に胸のざわめきがうるさかった。
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