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急接近。

――朝日が昇る頃に、鳥のさえずりで目が覚めた。起きると頭が頭痛してきた。ベッドの上から体を起こしてボンヤリと部屋を眺めた。 「ん…アレ? いつの間に寝てたんだ?」  ボンヤリとしながら頭をかくと、何故か自分が上半身裸の事に気がついた。 「あれ? おかしいな。服、着てたような?」  そういえば昨日、葛城さんと一緒に帰る途中、噴水の中に突き落とされて濡れたんだっけな。俺、自分で服を脱いだのか? 「ああ、駄目だ。全然思い出せない。まさか葛城さんが俺の着ていた服を脱がしてくれたなんて、そんなこと絶対に無いよな――。いや、待てよ……?」  一瞬、脳裏に記憶が僅かに甦った。そういえばベッドの側で彼の声が聞こえてたな。起きろとか言ってたような。 「ん?」  近くの椅子に濡れた服が綺麗に畳まれて置いてあった。 「あっ……!?」  やっぱり気のせいじゃなかった。寝ている時に彼が服を脱がしてくれたんだ。 「葛城さん…――!」  一瞬、彼の気遣いの優しさに嬉しくなると目が覚めた。それに良く見ると俺の隣に彼が寝て居たような跡があった。シーツの上に、彼の髪の毛が側に落ちていた。 「え、もしかして……!?」  俺の横で葛城さんが寝ていた事に気がつくと、しまったと頭を抱えた。 「ああ、クソッ!! 何やってるんだよ俺…――! よりによってそのまま酔い潰れて寝るんなんて。こんなこと、滅多にないチャンスだったのに……! バカか俺は…――!」 そもそも彼が俺のベッドなんかに入ってくること自体が奇跡なのに。よりによって、うっかり寝ちまうなんて。 「ああ、もったいない事したなぁ……」 チャンスを逃すと切ない溜め息をついてガクンとベッドの上で虚しくなった。あの時、酔い潰れて無かったら俺は彼の事を…――。 「そうだ……!」  咄嗟に慌ててベッドから出ると、ドアを開けて急いでリビングに向かった。もしかしたら、まだ居るかも――! 『葛城さんっ!!』 ドアをバンと開けると、名前を呼んで部屋の中に入った。だけど既に彼の姿は無かった。リビングはシンと静まり返っていた。

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