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恋の行方。

アイツのお人好しの性格に呆れると、テーブルに頬杖をついて、賑わっている席をジッと眺めた。柏木が隣で酒を飲みながら俺に話していたが耳に入らなかった。阿川は戸田課長のノリに合わせてビールジョッキをグイグイと一気に飲み干した。 「まったく、あのバカ…! 何やってるんだか!」 「ん? なんか言ったか?」 「あ、いや…何も――!」  アイツが無理に飲んでるような気がして、少し心配になった。テーブルの上に置いていたタバコの箱を手に持つと口に一本咥えてライターで火をつけた。 店内は相変わらず賑やかで騒がしかった。タバコを吸いながら柏木の話を隣で相づちしながら聞いていても、目はアイツの方にいってしまう。斜め向かい側の席に居るアイツが、何だかやけに遠く感じた。 「おい、聞いてるか葛城?」 「ん? ああ、聞いてる。向こうは賑やかだな…」 「戸田課長が居るからな。みんなも媚を売るのに必死なんだよ。萩原なんか鼻に割り箸刺してお盆持ってドジョウすくいなんかやってさ。さすがにアレは無いだろ?」  柏木の話しに目線を向けると、萩原はホントに頭にタオルを巻いて鼻に割り箸を刺して課長の前でドジョウすくいをやっていた。その光景に思わず笑いそうになった。萩原のドジョウすくいで、飲み会は一気に盛り上がった。それに連れて他の奴も一緒になってバカをやっていた。ホントに、うちの部署の奴らはバカばっかりだなと終始呆れながらタバコを吸い続けた。

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