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恋の行方。
「教えて下さいよ。俺の事心配してくれたのは、俺が貴方の「後輩」ですから? それとも「俺」だからですか? 俺の気持がちわかるなら貴方の口から教えて下さい」
「ッ…阿川」
「俺は貴方の気持ちが知りたいだけです。でないとこのままじゃ、おかしく――」
「おい、阿川! 戸田課長が呼んでるぞ!?」
不意に萩原が入ってくると、アイツに掴まれた手を慌てて振りほどいた。阿川は口を閉ざすと、悲しげな目で俺のことを見てきた。その悲しげな瞳に胸の奥がチクッと刺すように痛くなった。
「あ、わりぃ…! 2人で話し事か?」
「ん? ああ、ちょっとな……」
「俺、お邪魔だったっすか?」
「何言ってるんだよ萩原。阿川がちょっと酔ってるんだよ。な?」
「……萩原さんタイミング良すぎですよ。俺の邪魔してますか?」
「えっ?」
阿川は萩原の方を見るとニコッと笑いながらも目は笑ってなかった。咄嗟に萩原の背中を押すとその場から退散しようとした。
「さあ、戻るぞ萩原! 一緒に飲むぞ!」
「ん? ああ、そうでした!戸田課長からさっきチップ貰ったんです!葛城さんの分もありますよ!」
「見た。鼻に割り箸刺してドジョウすくいやった甲斐があるな」
「まー戸田課長はムカつくけど。あの人、チップだけは気前が良いっすからね〜!」
「ハイハイ」
その場から逃げるように萩原を連れて出て行くとアイツを一人置き去りにした。そして、自分の席に戻ると何食わぬ顔で柏木と萩原と3人で世間話しをした。さっきの事を考えると、自分の気持ちが乱れそうになった。
――“貴方の気持ちが知りたい”――
アイツのバカ真っ直ぐ過ぎるストレートな言葉に俺の気持ちは揺れていた。平静を装っても心の中ではアイツに対しての気持ちに、答えを探そうとしていた。でも、いくら考えても簡単に答えは出せなかった。一瞬、我を忘れると左手に持っていたグラスをテーブルの上に落とした。
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