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恋の行方。
目の前でアイツが急に駄々をこねると、顔を片手で押さえて小さなため息をついた。
「――あのなぁ…。いつから俺はお前の〃所有物〃になったんだよ?」
そこで呆れるとアイツの背中に右手を回した。
「酔ってるのか?」
「少し……」
「あんまり無理するなよ。お前、酒に酔うと手がつけられなくなるからな。見てるこっちまで心配するじゃねーか…」
「えっ…――?」
「いいか、戸田課長に無理やり酒を飲まされそうになったら断れよ。これは先輩としての忠告だ。何でもかんでもイエスマンじゃ、身体が持たなくなるぞ。いいな?」
「葛城さん、ありがとうございます…――! 先輩の忠告有り難く頂きますね?」
「ああ、お前は俺の大事な後輩だからな……」
そう言ってアイツの腕を振りほどくと、何気無く顔を反らした。
「いいか、とにかくここで休んでろ。お前も避難しに来たんだろ?」
「――フフフ。バレちゃいましたか?」
「ああ、俺がお前なら。あんな奴らに絡まれたら逃げたくもなるさ。だろ?」
「凄いな葛城さんは、やっぱり大人だな。何だか憧れます。ホントに何でも分かっちゃうんですね俺の気持ちとかも…――」
アイツは傍で切ない瞳で見てきた。その視線に思わず息を呑むと、口を閉ざして背中を向けた。
「悪い、先に戻る……」
そう言って一言話すとアイツに背中を向けたまま外に出ようとした。すると後ろから突然、右手を掴まれた。
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