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恋の行方。
「――大丈夫だ。お前が心配しなくても一人で家に帰れる。それに俺は彼女の家に泊めてもらうさ。お前にわざわざ心配されなくても平気だ」
彼のその言葉にホッとすると「じゃあ、そうしてもらえ」と彼に話した。
「まったく余計な心配だったな……。お前の過保護癖がこっちにまで移っただろ。お前と居ると段々似そうで怖いな」
そう言って冗談半分で笑うと、彼は急に黙ったままジッと見ていた。そして、何かを言いたげな表情で佇んだ。
「過保護が嫌なら、別に『親友』をやめても良いんだぞ。その方が俺もお前も楽だろ?」
「え……?」
目の前で彼がボソっと呟くと、一瞬「え?」と反応した。すると彼は「おやすみ信一。またな」と言って背中越しで手を振ると、自分から部屋を出て行き。そのまま玄関に向かうと、靴を履いて玄関の扉を開けて外に出て行った。
彼が帰って行くと、葛城はその場で自分の髪を手でかきあげた。そして、飲みかけだったコップを右手に持って考え込んだ。
何だアイツ、さっきから様子がおかしかったな。それに急に変な事を言ってきたり、俺の前で顔色が青ざめたり。さっきのは一体何だったんだ? それに今だって変な事を言ってたような……。
そこで首を傾げると、コップの水を一口飲んで考え込んだ。
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