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とけていく

パピコを半分に千切って、環に渡した。 ありがとう、って言って、口に咥えた。 暑い日だった。 1学期の終業式の日。高校生。 環の家の玄関先で、一瞬でぐにゃぐにゃになったパピコを飲んだ。 「聞いたよ秋生、先輩とヤッたって」 「えー…誰から?」 「誰だっけ?忘れたけど。そもそも俺も「なあ、秋生どう言ってた?」って聞かれて、なんのこと?ってそいつに聞いたんだ」 「…わざわざ言わないよ、ヤッたとか」 「そこは今、男子の最大の関心ごとじゃん」 ぽたぽた、結露が滴った。 手の甲を伝って、腕に水滴は流れた。 「…興味ある?俺が誰と、どんなふうにしたかなんて」 「多分、おんなのからだがどんな感じなのか聞きたいんじゃない?みんな」 「ああ…そっか」 「俺は、秋生がどうなったのか聞きたい」 「俺がどうなったか?」 「そう。ちょっと部屋入ろう、暑い」 環は立ち上がって、玄関のドアを開けた。 俺も環のあとについていった。 部屋に入って、ベッドに座った。 「っていうかさ、俺、誰にも言ってないのになんで知ってんの」 「先輩が言い散らかしてるらしい、あちこちで。秋生くん可愛かったーって」 「…まじか、さいあくだ」 「どんなだった?」 「…やっとだった」 「やっとだった?」 「環は、はだか見ただけで勃つ?俺、そんなの無理だった」 「…そんなもんなのかね」 「俺、だめなのかも」 「そんな、一回ヤッただけで絶望的になんなくてもいいじゃん」 環と遊んでてくっついたときにはどうにかなったのに、それなのに、先輩のはだかを見てもどうにもならなかった。 それは、俺を十分に絶望的な気持ちにさせてくれた。 床に座ってた環は、たちあがって俺の隣に座り直した。 環の顔を見た。 だいすきな顔だった。 なにか間違いが起こればいいのに。 俺は、ベッドに寝転んだ。 環に背を向けるように、まるく 「うわ」 「あはは、くすぐったかった?」 環が俺の背中を、人差し指でなぞった。 「ぞくぞくした」 「おらっ」 「うわっ」 俺の上に、環が跨った。 ふざけて、ガクガク腰振って 「ばかじゃん、やめろって」 「物理的な刺激があると、普通に勃つんじゃないの?」 「ためすな!」 「えー、試してみようよ。俺も勃つかな」 「知らないし!」 環はじょうずに体を揺さぶる。 「あっ…ちょっと待ってよ、たまき、…っ」 「やばい、なにその声」 「きもいだろ、だからやめろって言ってんのに」 「ちがう、なんかえろい。やばいかも、もっと言ってよ、秋生、おねがい」 「やだ、あっ…まって、って」 だいすきな環の顔は、みたことないような表情をして それみてたら、なんでかからだがむずむず痺れて 「だめだ、制服汚れる、」 なにこれ、されるがままに俺は半裸になって、環も脱いでて、それで、初めて自分以外のが勃ってるのを見た。 あたまがどうにかなりそうだった。 それが悪い意味だとは思わなくて、むしろ、今だけは言ってしまっても大丈夫だよな、って、 「す、すきだよ、んあ、あ」 「やばい、でる」 おなかの上がどろどろになった。 いったあとのソコは、きもちわるいなって思った。 なんでか息があがっていた。 たまきは、俺のほっぺを撫でた。

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