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ふとした瞬間に訪れる黒歴史2※

時は変わって、ある部屋の一室。 リツキが住んでいるマンションに遊びに来ていた俺は、家に置いておく訳にもいかなくなった例のブツをここに持ち込むしか無く、姉の追撃を躱して何とか逃げてきたところだった。 事の顛末を話したら、目の前にいる俺と似ているが似ていないリツキに爆笑されてしまい、リツキは俺からダンボールを奪い去ると、止める間もなく中身を出して興味津々といった様子で眺めている。 「それはお姉さんの言う通りだろうな。こんな極太のディルドを堂々と実家に送らせるとか、見つかっても文句は言えないよな。それに他のも入ってるし」 リツキの手にはピンク色のブツが握られている。エロサイトを見ていて自然と手が動いてポチっとしてしまったのは自分が悪いけど。魔が差したとしか言いようがない。 「シャレのつもりだったんだって!分かるでしょ?」 「でも、持ってきたってことは。色々と試してみたいんだろ?」 ニィっと笑うリツキの顔が怖くて、ジリジリと後ずさりする。リツキは俺の気持ちが手に取るように分かってしまうから、期待と不安が入り交じるこの気持ちも筒抜けだと思うと誤魔化しきれない。 「そんな、追い詰められた感じでシて欲しかった?」 「へ?いやいやいや!そ、そんなことはっ!!」 気付くと壁の側でへたり込んでいる俺の上から覆いかぶさるようにリツキに退路を塞がれている。片手を壁について、余裕の笑みを浮かべるこの姿。こ、このシチュエーションは…… 「か、壁ドン!?え、えぇ!?」 「今日はこういうのがお好みかなと思って。コレを使ってイジメてやるから」 リツキが取り出したのはピンク色のローターだ。彼も準備オッケーな感じでスタンバっているようだ。どうやら電池もご丁寧に入っているみたいで、リツキが片手で、カチっ、とスイッチを入れると、電子音が鳴り、動き始めたのが分かる。 「後生ですからっ!早まらないで?ね、ね?」 「大丈夫だって。いざ使っちゃえば絶対に気持ちよくなるんだって」 影が差してくるのが分かって一応両手で防ごうとしてみたけど、囁きボイスにやられて力が抜けてしまう。俺が固まったことが分かると、リツキはグッと身体を寄せて、ローターを俺の胸の辺りに当てた。 「ぅ……っあ!や、やめて……ってぇ…震えて、変な感じ、だからぁ!」 「……でも、サツキの反応は良い感じだけど?俺が触るより早く、固くなってきた」 ブルブルと振動しているのが未知の感覚すぎて、軽くタッチされているだけなのに妙に息苦しくなってくる。気を良くしたらしいリツキが、壁から手を離して逆側の突起部分も一緒に弄り始める。 「あ、あぅ……な、何か揺れてて、気持ち、悪い……っ」 「服の上からなのに、もう目立ってきてる。可愛い」 (可愛いとか言わないで!可愛くないって!!) 心の中で全力で否定してるだけでは相手には伝わらず、リツキは俺の突起をギュウと摘み上げた。 「…っぁ!ったい……痛い、ってばぁ……」 「強すぎた?ごめん、どれどれ……」 リツキは俺のTシャツを捲り上げて、抓った方の突起をペロと舐める。ジンと痺れた感覚の右と、痛くてヒリヒリしている左とで、感覚が違って頭の中が混乱してきた。 「サツキ?」 「も、一旦離して……」 俺が涙目で訴えると、リツキは優しく俺を撫でてくれる。目尻にキスを落とすと、身体を離して、俺をギュウっと抱きしめた。 「泣かせるつもりじゃなかったんだけど……じゃあ、仕切り直しするから。服、脱ごうか。今度は優しくする」 「あ……うん……」 優しい声色に導かれるように、俺は黒のロンTを脱ぎ始める。顔を抜こうとしたところで眼鏡が引っかかり、四苦八苦していると見かねたリツキが手伝ってくれた。 (というか、何で俺、素直に脱いじゃってんだろ……) ただ、このエログッズたちをどうするかの相談に乗って欲しかっただけなのに、気づけばエッチな流れになっている気がする。しかも服と眼鏡を取られたせいでどんどんと頼れるものがなくなっていて、頼れるのは目の前のリツキしかいない。 「ちゃんと食べてる?白くて細いから心配だ」 「え、あぁ……食べる時は食べてる、けど……」 「本を読みすぎて食事を疎かにするのは良くないから、俺のところに来ること。ご飯作って待ってる」 「そ、そんな。悪いって!リツキだって生活があるのに……」 俺が全力で手を振ってバタバタしていると、リツキの顔が目の前に来て思わず固まる。 俺とそっくりなのに、やっぱり別人みたいだ。やっぱり表情の作り方が違うのかもしれない。髪色が違うとはいっても、やっぱり仕草が洗練されている気がする。 俺の手を掴むと、チュッ、と、リツキの唇が俺の手の甲に触れた。何だか上半身が裸のままの俺がめちゃくちゃ恥ずかしい人に思える。 「あ、あ、あの……?」 「床だと身体痛めそうだし、ベッドに行こう」 そのまま手を引っ張られて、たたらを踏みながら流されるままに寝室へと連れ込まれる。 よくよくみると、ちゃっかりローターも握っているし……。 (えぇぇ……コレ、やっぱりそういう流れ?) ぼんやりとした視界の中で、ベッドに座らされるともう逃れることができない。 俺は挙動不審のまま、大人しくするしかなかった。

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