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突然始まる撮影会1

どうしてこうなった―― 俺は最近そんなことしか言っていない気がする。 確かに俺は腐男子で、オタクで、まぁ健全な男子としての営みをしていることは間違いないのだが。 「な、なんでこうなった!!」 「いや、なんでもかんでも。俺が勧めたら着てくれた訳だし。着てくれたならば撮影しないと勿体ないだろ」 「いや、確かに綺麗だな、可愛いなって言ったよ?でも、俺が着る流れになったのはおかしいと思うんだ」 「そんなこと言って。ノリノリな癖に何言ってんだよ」 現在の俺。リツキの家に懲りずに遊びに来ました。何か可愛いレェスの衣装を見せられました。可愛いねって言ったら着てみない?って勧められました。俺、何か断りきれずに着ちゃいました。何故かスマホで写真めっちゃ撮られてます。今、ココ! 「ブルーも似合うな、サツキ。可愛いし、エロいし。何か俺のところに嫁に来てくれたみたいな感じがいいな。このまま一緒に住みたいくらい」 「は、はぁぁっ!?いや、俺のことは差し置いて。俺も思ったよ?コレ、甘々だし、ロリだし、可愛いなってさ。でも、こういうのってショタっ子とかが着るから可愛いのであって!俺が着てもしょうもないというか!!」 「でもさ、この柄も凝ってていいなって思ってさ。見てたらサツキのこと思い出してポチっと……」 「ポチッとすな!!うぅぅぅ……下の方も短いから、ヒョロい身体丸見えなのがまた恥ずい……」 せめて完璧なコスプレとして化けるのならばいいと思う。だけど、俺の顔と眼鏡まんまでコレ着てるのって……妙にドキドキしてしょうがない。 薄いブルーのふわりとしたヴェールが花嫁を思い起こさせるし、この手袋もレェスの柄が綺麗で何か付けるのも勿体ないし、首にもブルーのレェスが巻かれていて可愛らしいのは間違いない。俺じゃなければ、だけど。 袖部分もシフォン素材だし、一体おいくらで買ったのだろうかと思うくらい上等な生地なのでは?と思うけど……。 (というか、どこで売っているんだよ……こんな可愛い衣装) 下もスカートのようにふわりと広がり、ヴェールが重なった素材が長く伸びているけど、ブルーのレェスのスカートが短くてスースーする。シフォンが長く伸びているけどほぼ足が見えているような状態で、1番スースーする原因といえば履いているおパンツまで女性モノのレェスのブルーのパンツだというところだ。締め付けられてるし、すっごい落ち着かない。 「何で?俺しか見てないからいいだろ」 「よーくーなーいー!あぁもう恥ずい!っつーか、汚れたらどうするんだよー……俺、こんな高そうなの汚せないし」 「何で汚れると思ったのか俺に教えてくれるんだよな?」 「うっ……」 俺が戸惑っていると、さらに近づいてまた撮影してくる。俺は少しでも防ぎたくて両手で自分の顔と身体を隠そうとする。そんな俺まで撮影すると、漸くスマホを下ろしてくれた。撮影会がやっと終わるのだと思い、俺は声を張り上げる。 「も、もういいだろ!オシマイー!」 「……そういう仕草が煽ってるんだって分かってないだろ?」 「は……?え、え、近い、近いから!」 「嫌がる顔も撮っておいたから。後で見返すことにして今は……」 フ、と笑うリツキの顔が妙に色っぽくて、俺は騒ぐことも忘れて数秒固まってしまった。 その隙を逃すリツキではなく、ヴェールを恭しく捲り上げると俺の額に唇をそっと落としてきた。 「な、ななな……」 もう終わったのかと思ったのに、リツキは最後に思い切り接写で俺の顔を撮って満足げに微笑んだ。今度こそスマホを傍らに置いて、俺をジッと見つめてくる。

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