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第1話(3)
翌朝、目を覚ましても店長はまだ僕を抱えたままで、正直暑苦しいし寝心地としても最悪で、僕は何とか動いた左腕を動かして視界は分厚い胸で遮られているため感覚で店長の手首を持つ。ちょっと捻ってみると、
「うわぁぁっ!!」
叫んで起きたらしい店長は僕を放り投げた。
勢いで壁にぶつかった僕はとっさに受け身は取ったもののそのまま身を縮めて少し呻いてみる。
「え……佐倉 ?」
かなり動揺しているのが声だけでわかって、内心ニヤリとしながら顔を上げた。
ちょっと目を潤ませて見上げると、店長はわかりやすいくらいワタワタと慌て始める。
「え!?大丈夫か!?どこケガした!?あー!!てか、何でここに佐倉が!?」
「店長、覚えないんですか?」
眉を寄せて尋ねると、店長はゴクリと喉を鳴らした。
「え?……な、何が?」
キョドっている店長を見て心の中で笑いながら、俯いてギュッと自分のシャツの胸元を合わせる。
「え!?何もない……よな?」
店では顔が怖いと恐れられて絶対にキッチンから出て来ない店長が今ちょっと不安そうな、戸惑った顔をしていて笑いを堪えるのも辛くなった。
「どうだと思います?」
前髪を掻き上げてパッと店長の両腕を握ると、僕はそのまま店長を押し倒す。
「は?」
ぽかんと口を開けた店長。
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