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第1話(6)
笑って見つめていると、
「192」
ブスッとしながら言って、店長はまたすぐにサンドイッチを口にした。
「ってことは……27cmですよ?」
カップに手を付いてちらっと店長を見ると、店長は「あ?」と不機嫌そうにこっちを向く。
元々あぁいう顔だが本当にちょっとイライラはしていそうだ。
「店から27cmも小さな僕が1人でここまで運んだって……涙モノじゃないですか?」
ちょっと目を潤ませてみると、店長はピタリと動きを止めてこっちを睨む。
「俺の手足が痣だらけなのはそれでか?」
「この身長差ですもん!仕方ないですよね?意識ない大人の男って重いんですよ?それなのに僕、帰らせてももらえなくて……」
泣き真似をすると、ぐぬぬとちょっと店長が唸った。
「悪かったよ!助かった!……これでいいか?」
怒鳴るようなかなり不服そうな言い方。
「えー!ご褒美が欲しいですぅ!」
ニヤけるのを堪えながら上目遣いをすると、店長はブチッと血管でもブチギレたような表情で顔をヒクつかせる。
「あ"ぁ?チッ。……いくらだ?今月のバイト代に残業代として付けてやるよ」
「んー?あ!お金は要らないです!」
「は?」
「うん!代わりに……僕のネコにしてあげますよ!」
にこにこ笑ってサンドイッチを口にすると、店長はバグったのか中途半端に腰を上げた状態で固まった。
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