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第2話(4)
昨日、8月2日は店長の誕生日。
30歳になると知った僕たち大学生組のバイト4人(僕と戸川とあとは他大の1年が2人居る)と添さん(この店の従業員は店長入れて6人)は内緒で準備をして閉店後、このお店で盛大にお祝いをした。ただ、
「主役なんだからもっと飲んで!」
と添さんがちょいちょい飲ませた結果が……昨夜僕が運ぶことになったぐでんぐでんになって最終的に寝た巨体。
戸川たち、まだ20歳になってない組は先に帰したから仕方ないにしても……添さんは一緒に運んでくれてもよかった気はしている。
店の鍵を締めた後、
「んじゃ!店長ん家、このマンションの302だから〜」
って裏口の向かいにあるマンションを指さしてさっさと帰られた僕の気持ち、わかる?
あの時はまだ寝てなかったけど、1人では立っていられない店長を抱えて
「マジか……」
さすがの僕もそれしか言えなかった。
ただね、僕はずーっと店長のただ恐れられる顔も無駄に悪い口もどっちかと言えば好みだったから……あわよくばちょっと頂いてやろうって下心はあった。
まぁ、頂くどころか無駄な労力使わされた上にホールドされたんだけど。
それが朝起きてあんな慌てたり、きょとん顔もしたり、キレたり……え?マジで喰いたいって思っちゃったんだよねぇ。
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