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第2話(6)
「さくちゃん、これは俺が持つから」
添さんが僕の持とうとした皿を自分のサービストレーに乗せると、近くに居た女の子たちがキャーキャー騒ぐ。
ちょっと前に僕がバランスを崩した時に添さんがたまたま僕の後ろから支えてくれて“リアルBL”って騒がれてから、添さんはたまにこうやって客の反応で遊ぶようになった。
まぁ、添さんの荒っぽい感じもガッチリした体も好みではあるけどねぇ。
キスしたりしてきて僕的にはラッキーだけど……添さんには僕がゲイとは話していない。
知ったら……ちょっとその反応が楽しみではある。ノンケだけどちょっと味見してやりたい気はするし。
「さくさん、これAの5です。Bの2もすぐあがるんで」
「オッケ!」
戸川に声をかけられてミニオムライスとグラタン、サラダが乗ったワンプレートを両手に持つ。
「お待たせっ!」
顔見知りの常連にウインクしてプレートを並べると、
「さくらちゃ〜ん!」
別のテーブルから呼ばれて僕は「ごゆっくり!」と常連に微笑んでから「はいはーい!」とそっちへ向かった。注文を聞いて、
「えー?今日はデザート食べないの?」
ちょっとシュンとしてみる。
「ダイエット中だからね」
申し訳なさそうなその声を聞いて、僕はしゃがんでいたそのテーブルに顔を寄せて下から客の顔をそれぞれ見つめた。
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