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第2話(8)
4時過ぎになってバイト最後の1人の水城 が来ると、僕と戸川は今日のバイトを終えてそれぞれ帰路についた。
「んー。結局、今夜はどうしようかなぁ」
呟きつつスマホを開くとメッセージがあることに気づく。
『よければ今夜、お会いできませんか?』
シンプルだったが、そのメッセージの主のページを見て思わず口の端が上がった。
建築現場で働くガテン系。
写真はないが、『現実を忘れるくらい激しく希望』一言コメントを見てペロリと舌で唇を舐めた。
一度アパートに帰ってシャワーを浴びる。つい鼻歌を歌いながらタオルで拭いて洗面所の鏡を見つめた。
髪を掻き上げてちょっと目を細めてみたところで全然男らしくは見えない顔。
「ふふっ」
笑いながら髪を乾かして身なりを整えると、シトラスの香水を軽くつけた。
待ち合わせの駅前でとりあえず周囲を見渡す。
うーん、3分前。どうしようか。思っていると、
「あの、“サク”さんですか?」
控えめな、でも、低いいい感じの声が聞こえた。
「俺、“ラビ”です」
ペコリと頭を下げられて微笑む。
声も見た目も好み。
「カッコいいね」
「そんな。サクさんこそ、本物かわいすぎて声かけるのためらっちゃいましたよ」
男は頭を掻いて照れたように笑った。
「ありがと!どうする?このままホテル行く?先にどっかで話したい?」
大きなその男を見上げると、男は顔を赤くして唾を飲み込む。
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