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第2話(10)
「サクさん、また……会えますか?」
「そんなよかった?ラビさん、カッコいいから……いいよ!シたくなったらまたメッセージ入れて」
微笑んで背伸びをしつつその頬にキスをする。
男は少し顔を赤くすると、頭を下げて大きなかばんを肩にかけた。
現場なだけあって朝早くに小さく手を振って小走りしていく男を見送って、僕はペットボトルの水を流し込む。
「ぎこちない走り方してたけど……今日お仕事大丈夫なのかなぁ?」
さっきの後ろ姿を思い出しながら笑ってベッドに腰掛けた。
ベッド脇の時計で時間を確認すると、のそりと布団に潜り込む。
再び布団でゆっくり微睡みたい。
大の大人たちを涙と涎でぐちゃぐちゃにして思いっきり啼かせるのが好きだ。
鍛えられたガッチリとした男を組み伏せて見下ろした時、太い首が仰け反って震える瞬間。
ふと店長の睨んでいる顔を思い出してニヤける。
「どう落とそうかなぁ?」
店長は久々にちょっと手間をかけて楽しみたいと思った。
あの普段睨んでいるばかりの顔をぐちゃぐちゃにして色んな顔を見てみたい。
戸川に言ったら「悪趣味」と言われるのはわかっているけど、仕方ないだろ?性癖ってどこか捻れてるもんじゃん?
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