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第3話「その顔、崩させて?」

 大学の門をくぐって伸びをする。 「遥斗(はると)くん!」  キャーキャー言いながら手を振る女の子。  声をかけられて微笑みながら僕は軽く手を振った。  エスカレーターに乗ってパッと前を向くと、1人挟んで見慣れた明るい茶髪が目に入る。 「戸川!はよ!」  降りて歩いている戸川の肩を叩くと、 「あぁ、さくさん。おはようございます」 「あ、おはようございます」  隣に居た戸川と身長もほぼ変わらない黒髪の男も同じように挨拶してくれた。  相変わらず片想いの相手と友達として一緒にいる戸川。幼なじみで、今ルームシェアで一緒に暮らしてるのに……本当健気過ぎて泣けてくる。 「今日、僕この2限終わったらもう授業ないし、そのままラストまで入ろうか?」 「いいんですか?」 「4限、休講だから!お昼のんびり学食行っといで」 「機嫌いいですね」 「理由聞きたい?」 「大体わかるからいいです」  趣味が合わないと知っているクセにしっかりそのお友達を僕から守っている辺りね。  笑えてきて、僕はご機嫌なまま授業のある講義棟に向かった。  どうしても受けたくてねじ込んだ夏期講習。  それよりその後のバイトが楽しみになっていた。  ラストまでってことは19時半のラストオーダー後は店長と2人だけになる。  あの夜以来、店長は僕を軽く避けているが……反応を想像してニヤけるのを抑えるのが大変だ。

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