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第3話(5)

 カウンターに軽く肘をついてそのジュレを眺める。 「ヤバっ!かーわいー!」  スマホをかざして写真を撮ると、SNSにアップして微笑んだ。  すぐに“いいね”が付き始めて口の端を上げながらスプーンを持つ。 「ねぇ!店長!明日はもっと仕込んだ方がいいかもですよ!」 「あ?……てか、お前、今から食うのかよ」  桃を取り出していた店長は顔を上げてため息を吐いた。 「だって、店長は今から仕込みするんですよね?」  パクッと口に入れて巨峰の味を存分に味わう。  あんな恐い顔をしているのにこんなかわいくておいしいものを作るとか……ズルい。 「クローズの仕事終わったなら帰れ」 「どうせ帰っても1人ですし。今夜は何か満足したんでセックスも要らないかなって 」 「バッ!!」  慌てて顔を上げてすぐに逸らす店長。  危うく指切りかけるとか……笑える。 「あ、店長を食わせてくれるなら頂きますけど?」 「笑えねぇ冗談言うな」 「えー?僕のネコにしてあげるって言いましたよね?」  食べ終えてペロリと舌を出しても店長は無視。 「僕、結構本気で言ってますよ?」  にっこり笑うと、店長は鍋に桃を入れ終えて大きめのスプーンをこっちに向けた。 「俺は男だ!男に興味もねぇ!お前は明日も朝からだろーが!さっさと帰れ!!」  かなり睨んでいてちょっとゾクッとする。  うーん……マジで落としたくなってきちゃったんだけど?

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