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第3話(8)

「あれー?遥斗くん、今から?」 「うん!寝坊しちゃって!あ、でも、僕は今日は3限だけだから遅刻じゃないよ?」  歩いてすぐの大学の門をくぐると、同じ学部の子に声をかけられた。  笑顔で対応すると、その女の子は嬉しそうに声を弾ませる。 「あー!今日もかわいい!そのかわいさ分けて欲しいっ!」 「ふふっ、ありがとう」  笑いながら「僕はこっちだから」とエスカレーターを上りきってすぐに手を振った。  “かわいい”って言われるのが嬉しい。  昔からもう何度言われたかわからないし、10も歳の離れた兄が居る僕は常に“かわいい”と言われる存在だった。  たった3つの教室。夏期講習で人も多くないのに廊下を歩く少しの距離で男女問わず声をかけられて“かわいい”を連呼される。  正直、この顔を使って今まで色んな男を抱いてきた訳だし得だと思う。  あー、そっか。  あんなに僕をウザそうにするの、店長だけなんだ。 「Hi!」  ドアを開けた瞬間、声をかけられて笑顔で軽くハイタッチをしながら丸くなっているイスの空いているところに腰を下ろす。しばらくすると、 「Let's get started.(始めようか)」  金髪、碧眼の高身長。笑顔で入ってきた教授はグルッと僕たちを見て微笑んだ。  たった5人。かなりのペースで進む全て英語の会話。 「haruto,What do you think?(どう思う?)」  嫌でも上達するよね。

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