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第4話(4)
「ねむ……」
あくびを噛み殺しながらちょっと俯いて歩く。
朝、6時なのに真夏の朝はもう暑い。
仕事に向かうナルとホテルで別れて僕は駅に向かって歩いていた。
今日のバイトは夕方からラスト。
帰って寝よう……それだけを思って歩く。
だが、不意に目の前に大きな足が。右に避けてもそれは右へ。左にズレてもそれも左にへ。
何だ?と顔を上げた僕はその相手を認識してため息を零しそうになった。
それを耐えて何とか微笑みを浮かべる。
「お久しぶりです」
「久しぶり!?お前何なんだよ!メッセージ送っても反応ねぇし!」
男は眉を釣り上げて両肩を荒々しく掴んできた。そして、大声で叫びながら勢いのままに揺さぶられる。
本当、面倒だ。
1ヶ月くらい前にヤった男。たった一度寝ただけで彼氏面。出会い系での大ハズレ。
僕は滅多にないのになぁ。
側を歩いて行く人が何事だと好奇の目を向けて通り過ぎた。
迷惑過ぎる。
小さく息を吐くと、男は更に力を込めて唾を撒き散らしながら喚いた。
「サクっ!お前、浮気か?俺の連絡無視してフザけんなよっ!!」
眠い今の僕は笑って許してやれるほどの余裕はないし、優しく対応する気も一切ない。
いい加減イラッとしてきた僕はゆっくり顔を上げて男の顔をまっすぐ捕えた。
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