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第4話(7)

 ガチャとドアが開いた音で目を覚ますと、 「サクさん?」  戸川がひょこっと顔を出した。 「あ……」  起き上がろうとすると、制されて再び布団に沈み込む。 「本当だ。……微熱か?」  呟かれて首を傾げると、戸川はサイドテーブルにあった鍋を見てまたさっさと部屋を出て行った。  すぐに戻ってきた戸川はトレーごとサイドテーブルに置く。 「しっかり水分摂ってちゃんと寝てろ……だそうです」 「は?」 「サクさん」  サッと服の隙間から脇に体温計を挟まれて口元にストローを持ってこられてとりあえずその水を口にした。  電子音が鳴って確認した戸川は38.2と表示されたそれを見せて僕の額に手を付く。 「冷やすもの要ります?」  首を横に振ると、 「じゃあ、卵がゆ食べます?店長が持ってけって渡してきたんですけど」  戸川は言いながら綺麗に盛り付けられた器を見せてきた。  ふんわりと漂う香り。 「うん、いる」  ダルい体を起こしてもらってレンゲで一口食べると優しい卵の味が広がった。  朝、置いていかれたリゾットもそうだったし、いつもの賄いも本当何でもおいしいけど……染み渡るこの感じ。 「ズルいなぁ」  呟くと、戸川はフッと笑った。

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