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第4話(8)

「サクさんの狙いのネコって……店長なんですか?」 「うん」  隠す気はないからすんなり認める。 「ネコってか猛獣過ぎません?しかも、店長って元カノとかみんな女ですよね?」  戸川は顎に手を当てて少し斜め上を見た。 「ノンケだねぇ」 「まぁ、怖いだの優しくないだの言われてすぐフラれてるみたいですけど」  さすが、ちょいちょいキッチンに入るだけあって僕より店長の事情にも詳しいらしい。 「へぇ、そこまでは知らなかった」  小さく笑うと、戸川はため息を吐いた。 「ご飯食べてちゃんと寝てます?」 「そりゃ……」 「……ですよ?」  目を細められて口を閉じる。  僕のアパートには炭酸水と栄養補助食品しかない。  そもそも、炊飯器とか調理する器具は何もないし、グラスとマグカップが1つずつあるのみだ。  まともな食事はバイトで食べる賄いくらいだから。 「店長があいつはちゃんと食って寝てないって……ちょっと怒ってましたよ」 「そうなの?」 「何で嬉しそうなんですか」  戸川は呆れたようにため息を吐いた。  でも、しょうがなくない?見てくれてるって嬉しいじゃん! 「戸川ぁ?」 「何ですか?」 「僕、攻めるわ」 「……まずは食べて熱下げてくれます?」  どうでもよさそうな戸川に微笑みながら、僕は優しい味付けの卵がゆをゆっくり口にした。

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