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第5話(2)

 オムライスにパプリカのマリネ、コンソメスープ。  この前ここで店長と朝食を摂ってこんなすぐ、次は夕食か。  想像もしなかった展開にちょっと笑いながらあの時と同じイスに座る。  テーブルの中央にはまん丸のガラスボールみたいなものが置いてあっていくつもの小分けになったミニブーケがとりあえず入れられていた。  本当にとりあえず。あまりにもの入れ方で笑いながら少し直しておく。  今日お店に飾った花かな?  毎回クローズの時に小ビンから抜いて集めるあの作業を思い出しつつ、その花たちの行方を知って顔が綻ぶ。  あの顔で自宅のダイニングに花……似合わないよ。  向かいの席に店長が座る姿を想像しただけで笑いが込み上げた。 「先に食ってろ。まぁ、風邪とかじゃなくて睡眠不足と栄養不足……とにかく日々の不摂生が祟った結果だろうからな。食えるだけ食え」  かなりぶっきらぼうな言い方。  でも、彩りのいい目の前の料理を見て僕はそっと手を合わせた。 「いただきます」 「これも食え」  ゴトッと皿を置いて店長はまたキッチンに戻って行く。 「肉食えよ!肉!」 「……多くないですか?」 「あ?食わねぇから体できねぇんだよ」  グラスにお茶を入れて運んできた店長はガタンと座ってすぐにフォークで肉を刺した。

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