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第5話(3)
「そんな僕だって一応……」
「バイトん時の賄いは食うけどあとはゼリーだっつってたじゃねぇか!」
勢いよく食べる姿は部活終わりの男子高校生のようだ。
「ちゃんとそれで栄養は……」
「うるせぇな!食えつってんだよ!」
フォークに刺した肉を目の前に出されてその大きな肉の塊を見つめる。
「見てねぇで食え」
「大き過ぎません?」
「男がんなモン気にすんな」
口に押し付けられてはちみつの甘い味が広がった。
何で僕がこんなことされないといけないんだろう?でも、優しいこの甘さがムカつくけど何か凄い染みる気がする。
「食って寝りゃ大抵回復すんだよ」
店長は大口でどんどん皿を空にしていった。
「めちゃくちゃですよ」
「うっせ!」
口元を拭いながら笑うと、店長はケッと悪態をついてお茶を飲み干す。だが、
「……もう、やめろ」
不意にコトンとグラスを置いて店長はゆっくり息を吐き出した。
「は?」
オムライスを口にした僕は意味がわからなくて首を傾げる。
「お前の勝手だと無視してきたけどな。不特定多数と関係を持つってのはそういうリスクを背負ってんだよ」
思いっきり睨まれて僕はスプーンを置いた。
「簡単に言いますけどねぇ」
「簡単だろーが!」
店長は舌打ちをして立ち上がる。
グラスを持って歩いて行く手を掴むと、店長は無言のまま見下ろしてきた。
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