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第5話(5)
送ると言っても店の入口がある表の通りに出て西に真っ直ぐ行くと大学が見えてきてそのまましばらく歩けば僕のアパートは見えてくる。
そこで店長も帰るかと思いきや、一緒に階段を上ってきて僕の部屋の鍵を開けても帰らなかった。
「僕の部屋ここですし……もう大丈夫ですよ?」
一応聞いてみると、店長はそのままドアを開けて中に入っていく。
「ちょっ!店長っ!!」
鍵を抜いて慌てて僕も中に入ると、店長は真っ直ぐ冷蔵庫に向かって行ってそのドアを開けた。
雑に脱がれた革靴を見て、聞こえてくるため息にちょっと面倒くさいと思う。
「やっぱり食い物が何もねぇ」
「店長には関係な……」
「ねぇが、今日倒れてんだろーが!お前はうちのバイトでみんなが今日はお前の穴を埋めてる!」
下から睨まれて僕は靴を履いたまま玄関で立ち止まっていた。
たった6畳のワンルーム。
玄関に居るだけで部屋の全ては見渡せて何もないのはすぐにわかっただろう。
それでも部屋に上がって冷蔵庫を開いたのは最低限の生活の確認。
床に置いたままのゴミ袋にはいくつかゼリータイプの栄養補助食品と昨夜もらったケーキの箱が捨ててあるのみ。
そして、冷蔵庫には炭酸水しか入っていない。
誰が見たってまともじゃないと思う……か?
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