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第6話(2)
昼のピークも終えた頃に水城がやって来ると、店長はカウンターから顔を出して芳井を呼んだ。
「お前、もう上がっていいぞ。で、これ、昨日急に呼んだしな。持ってけ」
カウンターに置いた持ち帰り用の箱。
「おっ!人気のジュレとかやっさしーい!」
添さんがピュウッと口笛を鳴らすと店長は添さんを睨んでさっさとキッチンで作業に戻った。
「あ、迷惑かけたのは僕だしお礼は……」
慌てて声をかけると、添さんは笑いながら僕の肩に腕を回す。
「店長がやってくれたんだから素直に甘えとけば?体調不良なんて気をつけたってどうしようもない時だってあるし、お互い様じゃん?」
「てか、しょっちゅうバイトのシフト変わってもらってるのは俺なんで本当気にしないで下さいよ!」
芳井の笑顔を見て僕も少し笑った。
「むしろ、いつもみんなのシフト引き受けたりしてて倒れないか心配してましたもんね。店長」
「んなモンしてねぇわっ!!」
水城の発言には慌てて反応した店長を見て、僕は嬉しくて仕方ない。
素敵な店だなぁ。
みんながみんな温かくてちょっと泣きそうになる。
「いらっしゃいませ〜!ほらっ!さくちゃん、笑顔!な?」
添さんにグラスの乗ったトレーを渡されて指で口の端を上げられて……僕はみんなの優しさを感じながらフロアに出た。
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