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第6話(6)

「店長ぉ、僕、何か変なんですかねぇ?」  閉店した店内でレジの最終チェックをしながら呟く。 「ようやく自覚しやがったか」  店長は呆れたようにショーケースを開けてしゃがんだ。  トレーを全部出して中を拭く大きな背中を見つめる。  ここに抱きついたら……殴られるな。絶対に。  思いながら伝票を一纏めにしてクリップで留めた。 「お前、これ食うか?」  終わった……と声をかけようとすると、店長がちょうどこっちを見下ろして今日残った桃のタルトとチーズスフレが乗ったトレーを見せてくる。 「はい!」  返事をすると、店長はそのまま無言でキッチンに入って行った。  カウンターに凭れてそんな店長を見つめていると、スープカップと平皿に乗った白ごはんを2つずつ出してくる。 「おら、あっち運べ」 「は?」 「食うだろ?」  言いながら肉を炒め始めた店長を見て僕はこみ上げる笑いを必死で堪えた。  まさかの夕飯まで用意してくれるとは……そんな気にしてくれるなんてテンション上がっちゃうじゃん!  サービストレーを出してフォークを置いてから左手で持ってスープカップ2つと平皿1つを乗せる。右手で残りの平皿を持つとすぐ側にあるテーブルにセットした。

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