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第6話(9)

「へぇ、店長、妹居るんですね」 「似てねぇぞ、顔」  ムッとしながらスフレを口にする店長を見ていると笑えてくる。 「別にそんなの言ってないじゃないですか」  笑いながら僕もタルトを頬張ると、やっぱり食べるのが速い店長はコーヒーを口にしてほぅっと息を吐いた。 「今、赤ん坊産まれて大変だからな。お前がトラブってるの見つけた日も野菜とか仕入れ終わって本当ならあの後、妹夫婦の家に朝飯作ってやりつつケーキ受け取りに行くつもりだったんだよ」  カップを持ったまま背凭れに体を預けて足を組んだ店長。 「え!それはすいませんっ!」 「別に。わざわざ作った朝飯写メ送ってきやがったし、ケーキもこっちに届けてもらって問題はねぇ」  コーヒーだけはゆっくり味わうらしい店長を縮こまりながら僕はたまにチラッと目線を上げる。 「お前、無事だったしな。それが一番だろ」  そのカップを持つ筋張った手もかなり鋭い目をしているくせに優しいのも……営業を終えていつもはうるさいネクタイだって緩めて、ボタンを外してシャツを少し開けた姿はかなりドキッとした。 「ねぇ、店長……」 「あ?」  思わず立ち上がった僕を見上げる店長から目が離せない。

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