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第7話(5)
「勃たなくなったんですか?」
「だーかーらぁ、昨日1人遊びしたって言ったじゃん!店長にはすぐ反応するのにさぁ」
少しムッとすると戸川は笑い出す。
「いいじゃないですか!一途っぽくて」
「他人事だと思って……」
ドリアをスプーンで突付いていた僕が目を細めると、戸川は笑いながらそっと持っていたスープカップを置いた。さっきからちょいちょいため息を吐くし、その食事も全然進んでいない。
「戸川は?何があった訳?昨日、サークルの飲み会って言ってたでしょ?まだ一応未成年のくせに」
ドリアを口にして熱さにハフハフと口を動かすと、戸川は顔を上げて表情を緩める。だが、明らかに笑えていない。
「飲んでないですよ。俺は……てか、飲み会は一切飲まず食わずで帰ったんで……」
「は?何で?」
水を口にしてから尋ねると、戸川はグッとイスに凭れてから一気に肩の力を抜いた。
「一緒に住んでるあいつ……雄吾 が酔っ払っちゃって……」
「未成年が飲むなって……」
「あいつ、昨日誕生日で20歳になったんですよ」
「へぇ……で?」
先を促すと、戸川はまた深いため息を吐く。
「連れて帰って……手を出してしまって……」
消え入りそうな声。
何、そのおもしろそうな展開!!
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