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第7話(6)
「初めて男を食った感想は?」
僕はグラスを置いてその縁を指でなぞる。
「いや、手と口で抜いただけですし」
どこを見ているのかわからない目で戸川は呟くように声のトーンを落とした。
「よく止まったな」
「だって、あいつめちゃくちゃ酔ってますし……」
「でも、勃ったんだろ?」
目だけこっちを向いた戸川はすぐにまた目を逸らす。
「まぁ、女とは違うから慣らすのはじっくりやらなきゃだけど……挿れちゃえばオス同士のセックスってもう抜けらんないよ?」
本来は挿れる側同士のセックスは本能的に腰を振るし普通なら挿れる場所ではない秘孔への侵入は締め付けがキツい分、激しくなる……っていうのがナルの持論だ。まぁ、ナルが激しいの好きなだけな気もするけど……。
「……あいつ、彼女欲しがってるんですよ。でも、酔うとめちゃくちゃエロくなるっぽくて……」
「好都合じゃん」
「は?」
「お前、その子に彼女作らせたくなくてずーっと好きでもない女抱いてきたんじゃないの?それならもうそのまま手に入れちゃえばいいじゃん!」
笑うと、戸川はこっちを見たまま固まった。
「雄吾くんに彼女できるのは嫌なんだろ?」
「そう……ですけど……」
いつも余裕そうな戸川も今日は自信なさ気で年下っぽいその感じは嫌いじゃない。
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