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第7話(7)
「何?覚えてて避けられてんの?」
「むしろ、あいつは覚えてなかったのに今朝も咥えてしまって……もう、止められないんですよ」
髪を搔き乱すその姿は完全にいつもの余裕は見受けられない。
「だから、止めなくていいんだって。もう誤魔化さなくていいんじゃないの?好きなんだろ?」
頷く戸川の髪をぐしゃぐしゃにしてやる。
「愛のあるセックスってどんなのか教えてよ!」
笑ってスプーンを渡してやると、戸川はとりあえず持ってこっちを見た。
「ちゃんとご飯食べなきゃ!なんだろ?食べてしっかりしてさ……お互いこの恋実らせよう!な?」
「……さくさんにそんなこと言われるなんて……」
スプーンを受け取って戸川は小さく息を吐き出す。
「失礼だな」
「……本当にマジなんですね。店長のこと」
僕がムッとすると、戸川は少し笑ってやっとドリアを口にした。
「ずーっと好きだった奴のを咥えるって……やっぱいい?」
「……」
「勿体ぶるなよー」
「……思い出させないで下さい」
「あ、ごめん」
……戸川、お前も童貞みたいな反応しちゃうのな。
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