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第8話(4)
合コン開始時間10分前。
添さんも手伝ってくれて片付けと明日の準備を早く終えた僕たちはバルに到着。
「さくちゃん、緊張してるぅ?」
口数が減って俯きがちな僕の肩に腕を回して添さんは顔を覗き込んできた。
「いや、別に……」
顔を上げた僕は何か言いたそうな店長とも目が合って思わず視線を逸らす。すると、
「風兎 〜!」
声がして添さんの背中を軽く叩く女。鎖骨辺りまである明るい茶色の髪を綺麗に巻いて大きく胸元の開いた淡いピンクのトップスに大きなリボンのついた白のフレアスカート。
甘ったるい香水の香りもザ、女って感じの苦手なタイプだった。
「おう!千冬 !今、来たならちょうどよかったなぁ!」
笑いながら添さんは一緒に居た女たちにも笑顔を見せて中へとエスコートする。
千冬と呼ばれた女と共に栗色の髪を緩く捻って綺麗にアレンジされた髪に淡い水色のワンピースと白いカーディガンを肩がけした女と、肩までの黒髪ウエーブに黄色のサマーニットと黒のストレッチパンツを穿いた女が続いていった。
緊張しているのかいつも以上に目付きが鋭くなっている店長を見上げながら僕は小さくため息を吐く。
やっぱり付いてきたことに後悔をしていた。
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