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第8話(7)

「あ、本当だぁ!こっちももうお開きにするかぁ?」  笑いながら藍那の腰を引き寄せた添さんを見て僕は財布から2万を出してから背を向けて歩き出す。  添さんがうまく対処してくれたようで楽しそうに笑う声を聞きながらやっとあの場から逃れられたことに心底安堵した。 ◆◇◆◇◆  店を出て歩くのはさすがにちょっとキツい。  店長だって前ほど酔っていないとは言ってもフラフラする体を支えるには体格差があり過ぎた。 「店長ぉ!まだ寝ないで下さいよ!」 「ん"ーーー」  声をかけると、店長は眉を寄せて唸る。  うん。ほぼダメだ。席を立つ前に引き上げるべきだったのかもしれない。  僕が席を立つ前は店長はスローペースだったから1杯目のジョッキがなくなるところだったのに戻った時には2つのジョッキが空になっていた。 「あの女……マジで潰してヤる気だった?」  千冬の顔を思い出してギリッと歯を鳴らす。  やっと見えてきた店長の住むマンションだけを見て店長を抱え直しながら歩を進めた。 「店長っ!歩いて下さい!!……さすがにキッツい」  歩幅の違いもあるが、僕が2歩踏み出しても足を出さない店長に声をかける。 「うん……あぁ……」  気にせず僕に体重をかなり掛けながら店長はコクコクと頷いた。

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