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第9話「食うよ?」
「だぁっっ!!」
前のように鍵を開けて引きずりながら最後はベッドに投げ捨てる。
今回は靴を脱がせて玄関に置いてから鍵をかけたりして戻ってくると、店長は寝苦しそうに眉を寄せていた。
ため息を吐いてカフェのシャツとスラックスのまま、本当にただ腰のエプロンを外しただけの店長のネクタイを解く。
「合コンってもっと気合い入れるものじゃないの?」
呟きながらそのシャツのボタンも2つほど外すと、店長はふっと表情を緩めて僕の腕に擦り寄ってきた。
「……何?店長は酔うと人恋しくなる訳?」
前回抱き締められたことを思い出して聞いてみるが、店長は目を閉じて穏やかな寝息を立て始める。
「ねぇ、腕くらいすぐ抜けるけどさぁ……そんなしっかり持たれると……僕、帰れなかったって言い訳してまたここで寝ちゃうよ?」
顔を寄せて耳元で囁くと、店長がピクッと跳ねた。
「何?耳弱いの?」
再び口を寄せるとちょっと熱っぽい吐息を吐く。
そんな反応されて大人しくなんていていられない。
「……ねえ、店長。……食うよ?」
体を起こして声をかけると、店長はキュッと眉を寄せてからゆっくり目を開けた。
とろんとした目でぼんやりと視線を彷徨わせる。
「んぅ……水……」
甘えるようにちょっと頭を振りながら呟いたのを見て、僕は慌てて腕を引き抜いてキッチンへと走った。
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