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第9話(2)
「ヤバい、ヤバいっ、ヤバいっっ!!」
冷蔵庫に凭れかかってズルズルとしゃがみ込む。
ズクンズクンと脈動する下半身。
「くっそ……」
両手で顔を覆って何度も息を吐き出した。
あんなとろんとした顔。吐き出される吐息。擦り寄ってくる仕草。
堪らえた自分をめちゃくちゃ褒めてやりたい。
「……水、渡して帰るか……」
顔を上げてのそりと体の向きを変えてから冷蔵庫のドアを開く。
入っていたミネラルウォーターのペットボトルを持つともう一度大きく息を吸ってからゆっくり時間をかけて吐き出した。
「店長、お水ですよ」
ペットボトルを渡すと、店長は唸りながらフタに触れるだけで力が入らないのか全く開く気配すらない。
「……貸して下さい」
その手から奪って開けてやると、ふにゃりと表情を緩めて飲み口に口を近づけてきた。
「ちょっ!ちゃんと起き上がってからの方が……」
ベッドに仰向けのまま飲むなんて結果はわかりきっているから止めたのにグッとそこだけは力を入れて手で引き寄せてくる。
そして、案の定、パシャッと顔面から水をかぶった。
「だから言ったのに……」
ため息を吐きながらペットボトルのフタをしてサイドテーブルに置くと眉を寄せている店長の上半身を起こす。
壁に凭れかからせて濡れたシャツを脱がせて肌着も脱がせた。
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