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第10話(6)

「フザけんな!」  解放した瞬間に店長は怒鳴ったが、顔は上気していて口は半開きで目には涙の跡があって膝は笑っている。 「はいはい。腰抜けた?なら力入らないんでしょう?掴まって下さい?」  手を伸ばすとバチンと叩かれて僕はシャワーで濡れたことにしてあげた目を見つめて店長の固くて短い短髪を掻き上げながらキスをした。  目を見開いて逃げようとする店長をしっかり捕まえる。 「おまっ!!」  離した瞬間、噛み付くように怒鳴る店長に微笑みを送った。 「昨日、僕の手で気持ちよくなったのは事実ですし?今も……ヨかった……でしょう?」 「フザけんなっ!」  吐き捨てると、店長はそっぽを向く。 「強がってるとこ申し訳ないですが……僕は今日お休みだけど店長は仕事ですよね?」  その言葉で店長はパッと顔を上げた。  意地でも僕の手は取らないらしく床に落ちていたシャワーヘッドを取ると手すりに掴まりながらさっと全身浴びてキュッと水を止める。  その腰辺りから背中に向かって下からそろりと指を這わせると店長はビクッと跳ねて思いっきりこっちを睨んできた。 「触んな!クソッ!」 「ふふ……かわいっ!」 「フザけてんのか?てめぇは?」  血管破裂でもしそうなその形相もイイと思っちゃうとか……どうしようねぇ。

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