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第12話(5)

 どこかもわからない道を走る。  だが、すぐに行き止まりになった。 「くっそ……」  舌打ちをしてパッと体の向きをかえると、僕はフーっと息を吐き出してピョンピョンと軽く飛び跳ねる。  タクマのダボついた真っ黒なパーカーはムダにチクチクとスタッズが付いているし掴みづらそうだが仕方ない。  首元のゴツいネックレスと趣味の悪いゴテゴテの指輪も気をつけないとなぁ。  思いながら行き止まりに気づいて走るのを止め、ニヤニヤしながら歩いてくるタクマを見上げた。  掴もうと伸ばしてきた手を払って懐に潜り込むと、勢いのままパーカーの首元だけを掴んで右足を払いながら押し倒す。 「っ痛ぇ!!」  叫んだタクマも見ないで元の道をダッシュし始めると、ガコッと音と共に激痛を感じて僕はそのまま前のめりに倒れた。  後頭部を押さえるとヌルッと嫌な手触りがあるし、とにかく焦点が定まらなくて気持ち悪い。 「あークソ……手間掛けさせんなよ?」  すぐ側でタクマの声がするのに起き上がれなかった。  せり上がってくるものが堪えられなくて思いっきり吐くとそのままグシャッと頭を踏み潰される。 「なぁ、サクぅ!あ、違った!はるくーん!今から遊びたいのにそのかわいい顔汚すなよぉ!」  自分の嘔吐物で更に気持ち悪くなりながら、僕はぼやけながらも目に映る血の付いたビールケースを睨んだ。

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