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第12話(6)
終わりかなぁ……。
タクマに趣味の悪いタオルを頭から掛けられて、軽々と肩に乗せられた僕はもう色々麻痺したのか激痛もわからなくなって目を閉じる。だが、
「やり過ぎだろ?」
聞き覚えのある声で遠退きかけた意識が一瞬にして戻った。
「……お前、あの時も邪魔しやがったくせに」
ギリッと歯が擦れる音がしてタクマのイラついた声がする。
「だから、前も言っただろ?そいつはうちのバイトでうちは少数精鋭だから居ねぇと困るって。あの日、夕方バイト半分ビビらせてヘルプ来させたんだから返せって」
どう聞いたってそれは店長の声でまた迷惑を掛けるのはいたたまれなくて動こうとするが、ガッチリ抱えられていて地面に足が触れる気配さえない。
「フザけんなっ!前みたいに警察は来ねぇぞ!」
「救急車呼んでるからじきに来るぞ?」
焦っている僕とイラついて爆発しそうなタクマなんて気にしていないようなのんびりとした声。
「なら、その前にてめぇの面ヘコませろや!」
タクマは僕を雑に道路へ落とすと、ゴキッと首と拳を鳴らす。
「やめ……」
何とかタオルを取って声の限り叫んだつもりだが、僕の声はただ掠れてどっちの耳にも届かなかった。
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