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第13話「情けな……」

 目を覚ましたその場所はどう見たって病室。 「はるくん!?わかる!?……起きた?すぐ先生呼ぶわね」  うまく思考が繋がらないままパタパタと動く早智子さんを目で追った。  しばらくするとやってきた医師と看護師によってバイタルチェックなどをされて、話をする。  警察なども来たりして、やっとただベッドに脱力して寝そべることができたのは目が覚めてから2時間してからだった。 「大丈夫?」 「ご心配とご迷惑をおかけしました」  頭を下げると、早智子さんに思いっきり抱き締められる。 「昨日、走っていくはるくんを見てすぐに雅美ちゃんに電話したのよ。でも、雅美ちゃんもね。はるくんを見かけて追いかけた時には信号が変わっちゃって見失ってたって言うから……」 「きの……う?」  聞き返すと、そっとカーテンが開かれた。 「今、16時48分よ!朝までは雅美ちゃんが付いてたけど、お店があるから代わったのよ!」  ベッド脇にあるイスに座って早智子さんはホッと息を吐き出す。 「あ!僕、今日バイト!」 「頭の出血量多かったし、頭だから1週間入院して精密検査って!バイトなんか行ったら怒られるわよ」  微笑んで、早智子さんはりんごを剥き始めた。

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