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第13話(2)
入院に必要なものを家に取りに行こうかと言われたが、早智子さんに頼むなんて何か申し訳なくて断ってしまった。
僕のアパートには誰も……両親さえ入ったことはない。
あ、店長はあるけど……とにかく、あの部屋は外での明るくてかわいい僕のイメージを崩す部屋で、そこで人が生活しているとは思えない生活感のなさも自覚はしている。ただ、実家で染み付いたそのイメージを守らないといけない気がしていただけで……。
バタバタと廊下が騒がしいことに気づいて閉じていた目を開けた。
聞こえてくる声には覚えがあって「あ……」と一瞬寝たフリを考える。
だが、起き上がっていた体を布団に滑り込ませる前に病室の扉が勢いよく開いた。
「はるっ!あぁ、よかった!いや、よくない!綺麗な顔までケガしてるじゃないかっ!!」
兄の翔馬 が凄い勢いで走ってきてスーツのまま気にすることもなくカバンを放り投げて僕の左手を両手で握り込む。
すぐにその翔にぃの右手は僕の頬に貼られているガーゼに躊躇いがちに触れた。
「頭から血が出て搬送されたって聞いたぞ!?ストーカーだって!?」
“心配”と顔に書かれて思いっきり眉の寄った顔が近づいてくる。
抱き締められて、僕はそっと息を吐き出した。
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