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第13話(4)
こんな顔……いつ振りだろうか。
県外の大学を決めて一人暮らしをすると宣言した時?
下手に目を逸らせないでいると、翔にぃは僕の頭に巻かれた包帯を躊躇いがちに撫でた。
「俺がはるの一人暮らしを反対したのはこういうのを恐れてだぞ」
いつも僕に甘々な翔にぃの低い本気の声。
「……ごめん」
「はるはそこらの女なんかより断然かわいいんだからな」
本気で言っているのがわかるから下手に口を挟めない。
「男だってストーカーになるさ」
これで、今、翔にぃに僕がゲイだと打ち明けたら翔にぃはどうするんだろうか。
あのタクマと一度ではあるが身体の関係もあって、しかも、僕が抱いた側なんて。
怒るかな?拒否する?もう目も合わせてくれなくなったりして……。
考えているうちに翔にぃの目を見れなくなって僕は俯いて布団を握った。
ナルとかラビだけじゃなくて身近に戸川も居たから感覚が薄れていたが、一般的には理解されなくて苦しむ。
簡単にカミングアウトできるようなものでもないから。特に身内には。
「はる、明日はもうちょっと早く来るから……ちゃんと話をしよう」
面会時間の終わりに気づいた翔にぃが腕時計を見ながら立ち上がった。
頷くこともできない僕はただその姿を目を合わせない程度に見る。
いつもそうだったように優しく頭を撫でて帰って行った翔にぃの背中はもう見ないように、僕は布団に潜り込んだ。
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