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第13話(7)

「でも、こんなことがあった以上、しっかりと……」  翔にぃがコホンと咳払いをして鋭い目をこっちに向けて、僕は何も言えなくなる。  定年退職を迎えた両親に代わって結局、大学の学費も家賃も出してくれているのは翔にぃだから。  そんなものを盾に意見してくる人ではないが、どうしても引け目を感じてしまうのは事実だ。 「まぁ、お兄さんも荷物を置いてこちらにお掛け下さいな」  重い空気をかき混ぜるように早智子さんは穏やかな声を出してお茶を淹れ始める。  さすがに表情を緩めた翔にぃが僕に紙袋をくれて座ると、また扉がノックされた。 「あら、今日はお客様が多いわねぇ」  翔にぃに湯呑みを渡して早智子さんは扉へと歩いて行く。 「身体の調子はどうだ?大丈夫か?」  声も穏やかになった翔にぃを見て少しだけホッとして、 「あらぁ、雅美ちゃん。お店は?」  早智子さんの言葉に慌てて入ってきた人物を見た。  真っ昼間に店長がやって来るなんて!! 「……どうも。遥斗。こちらは?」  湯呑みを置いた翔にぃが目を細めて店長を品定めし始める。  口を開いて間に入ろうとしてくれた早智子さんと目が合って、僕はゆっくり首を横に振った。

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