110 / 255
第13話(9)
「学生なんだから学業優先して生活もしっかりするのは当たり前でしょう。自由を奪うとは……」
「実家に連れ帰って片道2時間ちょっとかかるそれを送り迎えなんて……奪ってますよね?それならその4時間ちょいをうちでバイトする時間として下さい」
翔にぃの言葉を遮って店長は緩く口元を上げた。
「は?」
「あなただって仕事してますよね?そんな暇でもないでしょう?」
「でも、あのアパートでそのまま暮らすなんて……」
淡々と言う店長に押され気味の翔にぃ。
僕と早智子さんはただ黙ってそんな2人を見ていることしかできない。
「セキュリティどうこうなら……うちのマンションで住むならいいですか?」
「何言って……」
店長のこの申し出にはさすがに僕も耳を疑った。
「俺は見た目だけで怖がられますからね?」
そんな僕の驚きも店長には通じていないのか、店長は平然と翔にぃを見ている。
「あなたがそこまでする必要あります?」
「そこまでしなきゃと思うほど、こいつに抜けられるとうちの店は困るんですよ」
店長が真剣な顔をすればする程、睨んでいるようにしか見えないのは……やっぱり顔が怖いからだろうか?
ともだちにシェアしよう!